CFRPにおける樹脂
- 耐薬品性(耐水・耐油)
- 接着性
- 耐熱性
- 剛性
- 難燃性
- 汚染性
「どんな用途、どんな環境でCFRPが使われるか」
⇒どんな樹脂を使ったらいいか?
CFRPに使われる樹脂
熱硬化性樹脂
不可逆性 A + B ⇒ C
・エポキシ樹脂
・フェノール樹脂
・不飽和ポリエステル樹脂
・ポリイミド樹脂
・ウレア(尿素)樹脂
など
熱可塑性樹脂
可逆性 A ⇔ A
・ポリエチレン
・ポリプロピレン
・ポリアミド(ナイロン)
・PPS
・PEEK
など
・CFRPには、基本炭素繊維表面になじみやすいもの(=親和性の大きいもの)が選択される
・CFRP部材の用途・環境に応じて樹脂は選択されるが、
最も一般的なものがエポキシ樹脂である
エポキシ樹脂
モノマーが「1分子構造内にエポキシドを2つ以上含む化合物」である樹脂
⇒硬化反応時、エポキシドの開環反応を伴う

炭素繊維表面との親和性が非常に良い
・重合の際、エポキシ樹脂が炭素繊維表面に付加したOH基やCOOH基と共有結合をする。
・樹脂と繊維表面改質剤(サイジング剤)どちらもエポキシ化合物がメイン。
アウトガスが少ない、硬化収縮が小さい、密着性に優れる等手扱いが良い
・フェノール樹脂:縮合の際に脱水反応により水、特にノボラック系は硬化剤からアンモニアが生成される。
・不飽和ポリエステル樹脂:硬化収縮が大きい(5~6%程度・単体の場合)
・ポリイミド樹脂:耐熱性に優れるが、高価。脱水反応や溶媒の揮発など、手扱いが非常に難しい。
エポキシ樹脂の特徴
- 成形性(低収縮)、耐熱性、接着性、電気絶縁性に優れる。
- 硬化時には硬化剤が必要。
⇒組み合わせが無限大なので、用途に応じた配合選択ができる。 - 多種多様な用途で使用される。
エポキシ樹脂の種類
ビスフェノールA型 エポキシ樹脂の90%を占める

・骨格部分の分子構造
・硬化した時の架橋密度が物性を左右する
エポキシ樹脂の硬化反応
エポキシ樹脂とアミンの反応
① 1級アミンの活性水素がエポキシ基に付加⇒ 2級アミンを生成

② 2級アミンの活性水素がエポキシ基に付加⇒ 3級アミンを生成

エポキシ樹脂硬化物の作成

組み合わせが無限大なので、用途に応じた配合選択ができる。
⇒樹脂メーカーに用途や使用環境を相談
不飽和ポリエステル樹脂
・FRP全体の中では、おそらく最も使われているマトリックス樹脂
・発生したラジカルが不飽和ポリエステルの二重結合を攻撃し、スチレンが架橋していくラジカル反応
・ラジカル開始剤となる有機過酸化物の選択により、硬化温度を自由に決めることができる
⇒ラジカル開始剤が分解してラジカルを発生させる温度に硬化温度が依存する
・反応開始と収束がシャープで速い

フェノール樹脂
・難燃性材料として使われる
⇒列車の外装などの例も
・樹脂単体が安価である
・副生成物として水、未反応フェノール、ノボラックの場合は加えてホルムアルデヒド、アンモニアが発生する

熱硬化性樹脂の耐環境性等
エポキシ樹脂 | フェノール樹脂 | 不飽和ポリエステル樹脂 | ビニルエステル樹脂 | |
成形作業性 | △ | △ | ◎ | ○ |
機械的強度 | ◎ | △ | ○~◎ | ◎ |
硬さ | 低~高 | 低~高 | 低~高 | 中~高 |
電気特性 | ○ | △ | ○ | ○ |
硬化収縮率 | ○ | — | △~○ | △~○ |
耐薬品性(酸) | △~○ | ◎ | ◎ | ◎ |
耐薬品性(アルカリ) | ○ | × | ○~× | ○ |
耐薬品性(溶剤) | △~○ | ◎ | ○ | ◎ |
耐候性 | △ | — | △~○ | △~○ |
接着性 | ◎ | ○ | ○~△ | ○ |
※この表は参考であり、樹脂の品質を保証するものではありません。