【news解説】CFRPの積層成形の弱点を低減するZ軸方向に繊維配向させたシート材

【news解説】CFRPの積層成形の弱点を低減するZ軸方向に繊維配向させたシート材

Z-direction composite properties on an affordable, industrial scale

Boston Materials uses milled reclaimed carbon fibers to increase modulus, impact/delamination resistance and produce metals-like conductivity for EMI shielding, lightning strike protection, heat exchangers and more.

Composites World 2021/04/20

Boston Materials社は、Z軸方向に配向された炭素繊維シート材料を開発し、販売をはじめました。

CFRPは一般的に、プリプレグシートや炭素繊維織物を重ねる(積層する)製造方法が一般的で、炭素繊維の層と層の間をつなぎとめるものはマトリクス樹脂のみであったため、層間せん断強度、面外剛性、耐衝撃性に弱点を抱える材料として扱われてきました。

これまで、CFRPのZ軸方向の強度を改善し、それらの解決を図るため、3D織物や、ピンの挿入による物理的締結、CNCを用いた層間強度の向上などの研究が行われてきましたが、今のところコストや生産性の面で産業における実装はされていません。

Boston Materials社が開発したZファイバー技術は、粉砕されたリサイクル炭素繊維などを、磁気を用いてシート上にZ軸方向に配向させる技術であり、これまでの一般的なCFRPの製造プロセスの積層工程にて、他のプリプレグ材料やカーボンクロス材料に追加して積層することができ、作業性やコスト面の問題をクリアできる技術となっています。

これはCFRPの強度だけでなく、熱・電気伝導率特性においても3次元的な設計が可能となり、これまでの積層設計の概念を大きく外すことなく、設計の幅と自由度を向上させ得るものでもあります。

今後もこういったCFRP成形中間材料の登場により、更なるCFRPの製品適応範囲が広がり、より身近な材料となっていくのかもしれません。