【news解説】英国研究チーム、新型自己修復複合材料を開発

【news解説】英国研究チーム、新型自己修復複合材料を開発

Old approach promises new self-healing composites

Intelligent materials that can monitor their structural integrity in real time and repair damage would extend the life of composites used in transport and renewable energy applications. Now researchers from Queen Mary University of London, Loughborough University, University of Warwick, and Imperial College London in the UK have revived a long-standing approach to create a new self-sensing and self-healing composite

materialstoday 2023/01/30

英国のクイーン・メアリー大学、ラフバラ大学、ウォーリック大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンの共同研究チームが、自己修復複合材料のシステムを開発したことを発表しました。これは、プラスチック材料が損傷を受けた際、補修なしに材料自身が損傷を修復できる新技術です。

従来の自己修復プラスチックの研究では、プラスチック内部に主剤と硬化剤を封入したマイクロカプセルを分散させる手法が試みられていましたが、その弱点としてマイクロカプセルが樹脂内部の空隙となり、材料強度が低下する問題が存在しました。

新たに開発されたシステムでは、繊維複合材料の層間に熱可塑性樹脂を挟み込むことで、材料内部に損傷が発生した際に熱と圧力を加えることで樹脂を軟化・溶融させ、損傷部を修復します。この方法により、複合材料の強度低下を最小限に抑え、複合材料の「耐衝撃性」の問題も克服できる可能性があります。

研究チームは、内部損傷モニタリングシステムの提供も予定しており、電気抵抗の監視により複合材内部の損傷を非破壊で検出します。この新技術は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のように修理が難しい材料の寿命延長や保守を容易にする可能性があります。

材料の損傷および修復プロセス

 研究の筆頭著者であるThomas D. S. Thor氏によれば、「連続繊維強化熱硬化性コンポジットの2つの欠点を、シンプルで拡張性のある方法で解決しました。積層体の靭性を高めると同時に、修復が容易な機能を実証し、複合材料の面外性能が比較的低く、内部の損傷を感知して修復することができないという現在の課題を解決しています。」と語っています。

 この先進的なスマート・センシング複合材料は、複合部品の寿命を延長し、環境への影響を低減する可能性があると期待されています。また、複合材料が使用されている多くの領域、特に定期的な保守や修理が物流的に困難であったり、現実的でない場合に有用な解決策を提供します。このシンプルで拡張可能なアプローチは、スポーツや海洋複合材の用途にも応用できる可能性があります。