【news解説】Animus社の自転車から見る、持続可能な社会におけるCFRP

【news解説】Animus社の自転車から見る、持続可能な社会におけるCFRP

皆様は日ごろ、自転車に乗るでしょうか。

自転車にはその目的に応じて実に様々な材料が使われています。フレームだけ見ても一般的なスチールやアルミニウム合金、より軽量な素材としてチタン合金やCFRPが使用される場合もあります。

ここ数年で環境意識の高まりから、様々なメディアで木製の自転車も目にするようになりました。とはいうものの、それらの木製自転車はYoutubeで公開される素人製作のDIYや、企業の技術アピールなど、一発芸の域を出ない印象を受け「工業的」に生産するというイメージはありません。それは様々な方向から力を受ける自転車へ適用するための、木材の素材としての比強度・比剛性と重量のバランスを取ることが難しいからだと感じます。

今月に入り、JEC Compositeにて木材とCFRPを使用した自転車の記事が掲載されました。この自転車はイタリアのAnimus社が製作したものです。

Animus社で開発されたこの自転車は、「ヨット工房の職人」の手によって作られたもので、樹脂をハンドレイアップで含侵させた炭素繊維クロスを、木材の板でサンドイッチする形で製作されたもので、軽量かつねじり剛性や振動吸収性を満たした「木材とCFRPのいいとこどり」を実現した製品となります。

外観もCFRPの主張は少なく、全体的に素朴で自然的な木材による、どこか芸術的で、かつ実用的でスポーティーな美しい見た目を実現しているのも大きな特徴です。 ここ数年の風潮として、CFRPは軽量で高剛性なハイスペック材料でありながら、その製造方法から脱炭素社会の反対を行く材料という印象を持たれているのが現状です。しかしこういった、脱炭素、持続可能な社会に必要不可欠ともいえる木材を、より素晴らしい材料に変貌させるものとして、こういった木材とCFRPの組み合わせは、SDGs時代に沿ったCFRPの新たな可能性といえるのではないでしょうか。

Animus社の自転車

出典